七梨乃手記

……あなたは手記に食い込んだ男の指を一本一本引き剥がすと、頼りない灯りの下それを開いた。@N4yuta

【CardWirth】 七梨乃那由多(旧Eril.inc)CWシナリオおきば (2018/6~)

七梨乃那由多(旧Eril.inc)名義で制作したCardWirthシナリオの保管庫です。

Yahooより移転しました。以後CWコンテンツは当blogで扱います。

ギルド上では旧名義になっているものもあるため、統一できるよう対応を進めています。

 

ギルド投稿シナリオ
「悪魔の絵」調査依頼 Ver.1.3
New!!
Last Update 2018/05/12
ご意見ご感想お気軽にお願いします。

本作品はEGOTEX様主催のCW合同誌「カードワースカーニヴァル!01」
に収録された同シナリオの修正版です。中編戦闘ありのストーリーシナリオ。
三部作「WIRTH」第一章という位置づけです。

第二章・最終章はプロットは出来上がっているのでリハビリしつつ制作開始。

 

悪魔のおすそわけ Ver.1.0
Last Update 2007/06/09

2007/06/13投稿されました。

錬金術の仕様について●
テーマは"短い時間で最大補助"、"造って撃って攻めまくれ"。
召喚獣スロットをフルに使い、蓄音機型錬金装置から次々に錬金獣を生成・射出して
補助に回復、時に攻撃と手を打てば、気分はデビルサマナー
目玉商品は生成する数や種類をいつでも自由に設定できる『粘液生成』。
ターンが来るごとに、「次は何を設置しよう」「どんな組み合わせで攻めよう」
と考えながらカードを選ぶのが錬金術の醍醐味です。

●舞踏の仕様について●
テーマは"ちょっぴりお得、ちょっぴり不安定"。
同レベルのリューンスキルより相対的にやや高めの効果を持ち、
同じバードでも吟遊詩人とは違い、発声せずとも効果を発揮できるものの、
心を持つ者にしか働かず、常に失敗(=効果激減or発動しない)の可能性を持つ。
踊り子のPCを作っても仕方なく歌を覚えさせていた方に、
ちょっぴり刺激的な踊りのスキルを提供します。

・概要
錬金術スキルと舞踏スキルの販売。
召喚ベースでクセの強い錬金術と、効果は高いが失敗の可能性もはらむ舞踏。
目玉商品は状況に応じて生成する数や種類を自由に設定できる「粘液生成」。
魔女っ子ならぬ悪魔っ子がやさしくレクチャーします。
ホムンクルスに囲まれると幸せになれる方や、
バード職のバリエーションを増やしたい方へ。

 

鞭術指南所 片翼の恋 Ver.1.2
Last Update 2007/06/09

・概要
軽戦士向け鞭スキルの販売。
と書くと当たり障りない感じですが、
女王様のスキルを売るところです。
低威力を追加効果などその他の要素で補うスキルが揃っています。
アクションカードを潰さずに、一味違ったバトルを味わいたい方や、
魔物相手でもとにかくイジめちゃいたい方へ。

v1.2でよりリューン準拠に近い仕様とお値段になりました。
乙女嬢少しは勉強したようです。

上を見ればきりはなく面白いのは常に横道

立ち止まれない不幸、バトンを受け取る幸福

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2月上旬から中目黒に引越して、まさかの1週間後に丸丸1週間のUK海外出張に飛び出すというキャノンボールめいた勢いで3月に突入したらまた何度目かの転機が待ち受けていて、春。

 

ぬるい環境でいいから成長しなくていいからもう数年は楽させて欲しかった~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

それでもほんの短い期間に与えられたもの得たものは限りなく大きく、今後も成長できる、走り続けられる場所を目指さないといかんのでしょう。

 

特にUKで一週間会議室にブチ込まれたことにより、これまで一塊の知識たちが緩やかに繋がるような感覚で運用していた自分の英語に横串が通った感覚があり、「だいたいこんな感じで思考すればスッと喋れて通じる」というようなフロウを体得したことで自分のものにできたのは素晴らしい体験だった。一方で、まだまだ表現力で至らないところもあり、その先のビジネス上の戦略思考も、教養、思考の奥行きも足りないことも痛感した。

『UKの土を踏む』のは十代の頃からの夢であり、それを最も理想に近い形で実現できたことで、自分のこれまでとこれからを一段高いところからスッと見通せたような気がする。

 

創作に没頭したくも運命に恵まれず、やむを得ず仕事にコミットして来た”がむしゃら期”の終わりが見え、そろそろ次の五年を見据えて道を選ぶ時が来たらしい。

やれること、やりたいこと、やらなければならないこと、ある自分、あれる自分、あるべき自分、あれない自分、この道の先、あの業界のフォーキャスト。

考えることは色々あるかもしれないが、いつでも上を見ればきりがなく、面白いのは常に横道。手は打ちつつも、楽しいことを何よりも優先して選びたい、そんな今日この頃。

 

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2017年総括

2017年総括

ほぼ転職活動しかしてなかった

 

ちょこちょこ遊びに行ったり、映画はかなり観たがほぼこれ。

ぶっちゃけ食えれば何でもよかった今までと違いそれなりにキャリアのいく先を考えながらやると大変だなぁということと、会社がアレだっただけで翻訳業界に入ったことは自分にとってかなりかなりプラスだったことが確認できたことは一番の収穫だった。

 

今は電子機器大手の事業部で契約と貿易周りの何でも屋をやっており、大体下記のような感じ。

  • 海外法人と締結する各種国際契約書の作成
    →素の状態から書き上げるものもあれば、頼まれて日本語のたたき台から英語版を作るパターンもある。当然ただ英語に置き換えればいいわけでもなく、保護規定や損賠周り、Entire Agreement等等、英米法ならではの規定もあるので、そこらへんどんぐらい締めます?とか契約の立て付けについて打ち合わせながら作っていく感じ。
    リーガルレビューは法務部に出すがほぼこっちでやる文化を受け継いだ。前任がスーパーマンだったからな・・・
  • 某国PJにおける契約立て付け解説マン&作るマン
    →就職してすぐ2週間ぐらいぶっ通して膨大な量の契約書と取っ組み合いして頭にぶち込んだため戦略会議とかで法務的観点からあれこれ解説したり、本職にこれこれ条項組み合わせてこういうネゴできませんかねぇみたいな相談をしたり。
  • PSI(生販在管理)実務、貿易事務
    →同PJの生産販売在庫管理の実務として海外現法と連携。HKもハードワーカーだらけで日本だけじゃねえな・・・を実感する。PO/INV発行したり管理したりに加え、IoT関連の新しいビジネスモデルなので発注の仕方を相談したりしながらPSIのトラッキングが確実にできるようにしたり簡単にしたりということもやる。
  • 日英・英日翻訳
    →製造業はステークホルダーが多く、下は部材ベンダーから上は政府までいろいろあるのでそうした相手へのプレゼン資料等の翻訳が様々。まわりくどい交渉上の文面とか表現を濾したり付けたり解説したりもする。
  • その他所属部署の契約に関するあれこれ
    →古いライセンス契約の終了とか、こんなん来たんだけど調べてくんない?という相談に会社の書庫をひっくり返して古文書じみた紙の契約書を引き当てて訳して対応していく。

新しいビジネスの契約について語ろうとしたり作ろうとしたりすると、そのビジネスに関するすべてを知り、それを前提として様々なシミュレーションを繰り返しながら進めていく必要がある。

技術、生産管理、会計処理、損益、為替(国際情勢)、設備、品質管理、輸出入管理、クライアント/ベンダー間の力関係、業界の相場などなど、専門的な分野から泥臭い人間関係まで一通り知っておくべきとして、関係部門や各所に渡りをつけてあらゆる交渉・打合せの場に参加させてくれ、多忙を極めながらも常に対話を怠らないでいてくれる超人上司には感謝のしようがない。普通ならポストが詰まっていて覗くことすらできない場に参加させてもらったお陰で、脳みそはねじ切れたが尋常でない質量の経験と知見を得た。

 

秋から入ったのでまだ数か月しかいないが、既に相当の仕事をさせてもらっており、これまでにない信頼関係も構築できてよいかんじ。同時に翻訳PMとしての翻訳/PJ管理経験と法学部の知識が上記の仕事が降って来た時に存分に活きており、これを伸ばさない手はないなと実感した。

すべてのビジネスに動脈として通る契約について熟知していることと、現場感や信頼関係の想像が付いて具体的な立て付けを提案できることは「強い」なと。

向こう数年で転職するつもりではあるが、ここで学べることがまだ無限にあり、どこまで吸収してその上でどう次の手を打っていくかが次の十年を左右しそうな感じ。ハードだが経験値ブーストがかかっているみたいなボーナスイベントみたいなものなので、引き続きリソースをがっつり振っていきたい。来年は資格の鬼になれれば・・・

 

 

2017年のゲームライフ

Shadowrun: Dragonfall/Hong Kong

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アークザラッド1/2リアタイ世代、銃撃戦フリーク、SF好き、サグライフ・ギャングスタ趣味としては全身をハチの巣にされる最高オブ最高のSLRPG。ゲームごとに香港、ベルリン等舞台が変わるのだが、完全に小説を読むつもりでやらないとネイティブですら音を上げる膨大なテキスト量(ロールプレイをするために十二分な量の選択肢やダイアログがあることの裏付けでもある)があり、その上現地語やL33T Speakめいたギークサイバーパンク造語も容赦なく盛り込んでくるので、英語が苦手な人は全体を通してサスペンスの趣のある素晴らしいストーリーラインジョジョ第五部が本当にやりたかったこと的な)を楽しめないので勧めにくい作品でもある。翻訳もされないだろうし・・・

気功、魔法、銃、中国拳法、日本刀、サイバネティクス、ハッキング、ロボティクスがすべて違和感なく同居しているこの世界観からは一生抜け出せない。瞑想して拳に気を宿し、アドレナリンをキメて鋼鉄の脚をオーバードライブして超速移動でAKを撃ってくる敵の群れに飛び込み撲殺できるゲームはこれまでもこれからも出てこないはずだ。

 

Warframe

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無料スペースニンジャTPSであるWarframeはSteamに移行してくる前、オープンベータが始まったばかりの4年前ぐらいの時にやり込んでから一旦離れていたが、今年オープンワールドが追加される大規模アップデートがあり、お試しで戻ってみてから今までどっぷり浸かっている。

やれることが異常に多いので説明しにくい(上のアニメを観てほしい)ゲームではあるが、徹底的にユーザコミュニティを活用し、需要を汲み上げて実験的実装を繰り返す「MOD文化」をビジネスモデルにしているMOアクションRPGであることが、Diabloやその他のファーミングゲームとは一線を画す点だといえる。

手に入る装備はメカニズムに様々な違いこそあれ、ダメージアウトプットの観点から見ればただのMODの器であって、結局様々な戦況や戦闘スタイルからどのようにMODを組み合わせていくかというところがミソ。ある種のCheat Programing SImulatorであり、正しくTRPGの文脈に則ったキャラクターづくりを推進するゲームである。

アクティビティを加速するため、シーズンごとに定例イベントを開催するようなその他のシューターよりも多く大小のイベントを打ってくるので、辞め時が見つからない。Redditでは常にユーザによる仕様への提案(企画書じみたレベルの成果物が載っていることもある)やディスカッションがあり、コミュニティマネージャーはそれに対してかなり機敏にレスポンスを返しており、実際に仕様化したり、修正されるまでの速度も速い。

「クリスマスホリデーは実家に帰るからこんなファーミングイベント被らせるの勘弁して」の声に対して明らかに重要なファーミング対象がホリデー前に出るようになっていたりするのには驚いた。

コンセプトやデザインが非常に優れていながら、ずさん極まるサポートでボイコット問題を起こし数カ月で廃れたUBIsoftのfor Honorを顧みれば、これからの"Games as a Service"(サービスとしてのゲーム)の時代において、プレイヤーコミュニティとの接し方がどれだけ重要であるかは一目瞭然であり、Warframeを提供するDigital Extremeには様々な大小の欠陥に目を瞑らせるだけのコミュニティ運営のノウハウが蓄積されている。

次代のゲームの可能性を作るのは確実にサンドボックス型のゲームであり、プレイヤーの遊ぶ力を信頼し、彼らにできる限り権限移譲ができているゲームである。PUBGも然りだが、そうした事実を広く業界全体に知らしめるためにも、Warframeにはこれからも成功し続けてほしい。

 

CUPHEAD

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最高。

ただただひたすらに最高。土木作業員の兄弟が家を抵当に入れて作って当てたという顛末最高。レトロ最高。BGM最高。鬼畜すぎる敵配置最高。敵の体力バーないの最高。死んだら最初から最高。パリィの判定意外とシビア最高。この、何回死んでも「クッソ~~~楽しいゾ~~~~~~~~!!!」とリトライを繰り返すアーケードゲームの手触りを味わうためなら、いくつ後追いが出ても構わないので流行れ、ジャンルとして。

自分の思い通りにキャラが動くというプレイヤーへのエンパワーメント、正面からプレイヤーの思い上がりを叩き潰しにくる容赦なく緻密なレベルデザイン、このジレンマがゲーミングだルォ????”命”(タマ)賭けてこいよォ・・・!?

 

2018年

年明け早々に中目黒住みになります。

あと痩せたい。英会話をもっと磨いて海外脱出の準備を加速したい。

今後ともよろしくお願いいたします。

カユミソ

食中りは現代人の飽食と過重労働に押しつぶされた生活に絶対的なNOを言い渡す大自然と生命のうんちゃらかんちゃら

食中りのお陰で少し痩せたので、スーツが入りやすくなり転職活動が非常に捗っている。食中りは数日ぐらい粥と味噌汁を二食も摂らない生活をしてもさして体力に差はないことに気づかせてくれた。人間に必要なものはもとよりそれほど多くない。疲れたら休めばいい。人生で本当に大切なことはもう二度とコンビニのハムを買ってはいけない、買っても開封したら即使い切るということだ。食中りはたくさんの学びを与えてくれた。ありがとう食中り。

まあ、先週エントリがなかったのは単純に機を逸したからで食中りは関係ないのだが。

 

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anond.hatelabo.jp

緊急避難は絶対的なもの(命に係わるから)という事実と、長期継続的なキャリア以外は認められないこのあまりにも窮屈な国の実情との軋轢の中で、「逃げること」がそのまま「役に立つ」と保証することは誰にもできないから、こういう苦しみに満ちた議論が何度も湧いて出てくる。統一された宗教観もないし、力のあるコミュニティサークルもないし、金もないから、誰も誰の心を受け止められない。だから責任の擦り付け合いになる。

本当はみんな「責任」なんて人ひとりが引き受けられるようなもんじゃないってことに気づいているだろうにな。

責任をベースに話をするんだったら、それを自分が属する社会や組織等のシステムが適切にそれを分散できているかどうかを考えなければならない。人間にはとにかく責任を分散させるためのシステムが必要で、個人にそれを負わせれば醜い争いしか起きない。

・・・そもそもその責任が必要なのであれば。

 

物心ついてから若いころまでは、自分のすべてが嫌いだった。

親への怨み、環境への恨み、それらを束ねて総括して、物理的存在としての自分への恨みになり、つまり自分の肉体が嫌いだった。精神が肉体にこびりついているものであることを知りながらも、肉体の事を常に敵視して生きてきた。

巷に溢れる「生きてさえいれば~」「とにかく生きることが~」神話にもほとほと嫌気がさしていた。人間に必要なのは平均寿命を平均的キャリアでクリアすることではなく、死ぬまでに一片でも自分のものだと断言できるような決断や意思や勇気を持てることであって、だから個人の事情を欠片も鑑みることなく自殺という選択肢を忌避する風潮にもずっと疑問を持っていた。どうせ誰も彼に正しい自由を与えられないのなら、彼が誤った自由を手にするためにしたことを、誰が責めることができるだろうか??

 人が生命に対して持てる倫理など、実態はその程度のものだと思っている。

ともあれ、自分の場合は這いつくばるように生きてきて自身の物理的な限界を思い知るようになってから、むしろ「これだけの体力があればこれぐらいのことができる」といった具合に肉体とのビジネスライクな関わり方ができるようになった。それは相対的で何かに依存した考え方ではなく、限りはあるが絶対的で自立した考え方だ。ポジティブですらある。

 

その上で考えるべきは、”For every man shall bear his own burden(人はそれぞれ、自分自身の重荷を負うべきである。 - ガラテヤの信徒への手紙6:5)” の「重荷」が何であるか。今背負っている「責任」が果たしてそれであるかということだ。

それは自分の知恵と心身が支えるのに十分なものであるか、それは自分のものになるための恩恵をもたらすものか、否か。

それが自分のものでないのなら、投げ捨てるべきじゃないだろか。

成長も、信頼も、市場価値も、自分が生きたいもののために生きていなければ空辣で他人任せで、自分の首を絞める真綿でしかない。最終的にどこで何をしていたいかという目標を最後まで手放さずに、可能な範囲で必要なことをし続けることが命への義務だと思う。

どうせどれほど大切にしたところで勝手に失われる命に対して立てる義理なんて、そんなものだ。 

 

頭で考えてわからん時に体の言うことを聞くのは結構大事なんだ。カニミソはいらない。カユミソでいい。まだ腹が痛い。神は死んだ。ありがとう、食中り。さようなら、食中り。

 

anond.hatelabo.jp

 

 

Home, sweet home 椎名林檎の「ぽくない」曲と

好きで生きているわけではないからこそ

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36協定を越えない奴は社員として認めない(挨拶)

こんばんは、俺です。という感じで、絶賛炎上中。

というより、「そういう体質」の会社に勤めているので、転職以来まあプライベートは踏みにじられっぱなしであるわけで思わず転職アプリに職務経歴を書き込む「趣味」を始めてしまうわけだが、一心に書いたもんを読み返してみるとまあまあ見栄えがするもので、それでもこんなもんしか儲からんのであれば、やっぱりニューラルAIと機械翻訳の波が一つ収まるまでは当分しんどいばかりでQOLは変わらんのではないだろうか。

ゲーム翻訳のPMなんかやるなって話とか諸々見聞きするにどこもあまり変わらん印象。

 

言語の壁を抜ける手段を手に入れると、そのためになかなかないような規模の仕事や出会いと関わることができるようになるわけだけど、その上で、言語の壁なんか問題にもならないやつらによって世界が回ってることがはっきりわかるわね。

 

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さて、椎名林檎である。

『茜さす 帰路照らされど・・・』とは何年の付き合いか。少しでも気持ちが沈めば聴いている。外人タレントがデビューすればすぐに「黒船」と呼ばれるように、椎名林檎もすぐに「アナーキスト」などと呼ばれた。『本能』『歌舞伎町の女王』『群青日和』。平成歌謡の女王であり、ポップを強いられた女。重度のパンク中毒が世間の力で無理やりポップに捻じ曲げられた結果が彼女の音楽人生の一部でもあったと思うが、何よりデビュー当初~事変結成までのあり方は、伝説的なロッカーでもカルト的な人気を誇るひねくれたアイドルでもなく、ひりひりした心を隠すこともしない一個人であって、だからこそ聴き続けることができた。「苦悩」こそが彼女の歌だったからだ。

 

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何しろ膨大な音源があるので、覗いてみると意外といろいろ揃っているのだが、驚くほど素直な歌を定期的にベロッと出すというところがこの人の面白さだと思う。

最近は少し遠くへ行ってしまったが。おそらく『日出処』の『ありきたりな女』がソロ活動終了時の『りんごのうた』の再来であったのだろう。今の彼女は完全に俺の知らないところにいる。

 

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帰りに公園を通ったら、夜桜を観ながら石段に座って一杯やってる二人組がいた。

昼間に大挙して押し寄せる連中より、平日にそんなことをする奴らの方がはるかに何やら桜を大事に思っているんだろうなと思った。

誰にでも自分のルーツをたどる時間は必要だ。人生はその先に伸びているべきだからだ。

なぞろう。

言語と銀河と自動通訳 Mass Effect Andromeda

 

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海外RPGメーカーの老舗、BiowareのAAAタイトル『Mass Effect Andromeda』がローンチした。

Commander Shepardを主人公に据えた天の川銀河の物語を描いたMass Effect Trilogyから、タイトル通り舞台をアンドロメダ銀河に変え、未知なる銀河へ入植を試みる開拓者の物語が新たに始まった。

 

Mass Effect 1が出たのがXBOX360の世代で2007年だから、10周年のシリーズになる。自分はこれのアジア版を輸入して以来のファンなので、スペックが明らかに足りないことを知りつつもME3までの見事な最適化を信頼してプリオーダーしてしまい、スペック的には見事に爆死したものの、いろいろ工夫してなんとか遊べている。

TrilogyではTPS・カバーシューターをベースに時間を止めてスキルを選択したり、配置を指示したりできるアクションRPGだったが、今回はクイックブーストが追加された代わりに時間を止める要素がなくなり、かなりTPSによっている印象。

でもって、相変わらず細かいバグがやたら多い。Rainbow Six: Vegasのテロハントを彷彿とさせる「入った瞬間目の前にスポーンする敵」とか、突然Tの字になって下半身クチャクチャになりながら銃を撃つハメになるぐらいだったら、進行が止まらないだけマシだと笑えるレベル。だがME1からあらゆる角にスタックするリスクがあったりしていたので、今更である。

何しろシリーズ通して「未知の惑星をオープンワールドで冒険させる。星団は十個ぐらい行き来させる」という間抜け極まる最大級のスケールに真面目に取り組んでおり、それに見合うだけのロアやシナリオやアートワークも極大物量で勝負を仕掛けていく、賢くないブリザードとでも言うべきBiowareの全身全霊、金剛爆砕、五体投地の果てがこのMEシリーズであり、プレイヤーにはそれなり以上の海外的おおざっぱ品質基準への習熟度が求められるのである。そりゃ星を4つも5つもとんでもないスケールで作ってれば把握できない、もしくは直しきれないバグや矛盾なんかあるに決まってるのだ。

 

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 ▲フェイシャルアニメーションが妙にリアル過ぎたり無表情すぎたりするのが話題のAndromeda。自分だけの宇宙船をゲットしてやったぜ冒険に繰り出すぜという局面でこの顔である

 

 Biowareといえばダイアログ、というぐらい、同社は昔からRPGにおいてあらゆる会話に選択肢を持たせることに執着し続けてきた。膨大なダイアログの数はそれこそ天文学的なボリュームで、今作ではついにそこらへんの入植者一人一人に「開拓に来た理由」「今の仕事」「地元の情報」等々最低3~4つのおしゃべりとキャラ設定が詰め込まれるレベルまで行ってしまった。この調子だと次回作では人狼ができるようになるかもしれない。

謎解きとアクションの有機的な融合をキーワードに、偏執狂的な品質保証とロジカルシンキングで一つ一つの要素を極限まで高品質にすることにこだわったのが『ゼルダの伝説 ブレスオブワイルド』なら、とにかく社の全リソースとこれまでの蓄積を投じてロアを無限に拡大し続け、納期までにやれることをとにかく全部やってハンマー投げの要領で顧客の顔に叩きこみ「この営みこそが宇宙の真実だ、人間の力を知れ」と言い切るのが『Mass Effect』なのである。

 

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 しかし、大手レビューサイトも揃って言うのが、「バギーだが壊れているわけではない」。実際に何を取ってもAAAの期待を裏切らない程度に遊べる。個人的にもこのシリーズ以上に手になじむシューターを知らない。特にME2/3はカバーシューターとしてだけではなく、シングルプレイのシューターとしては最高のプレイアビリティを誇ると思う。そして自慢のヒューマンドラマとド王道のスペースオペラ展開。CoDが「一兵士の視点」を放り投げて久しいが、「宇宙の中のひとり」が振り絞る勇気が少しずつ周囲に伝播していき、世界を変えていくストーリーテリングの上手さは随一だ。だからBiowareのゲームは、これもしかり、Dragon Ageもしかり、海外のドラクエと呼んでも良いぐらいに愛されているし、EAもたっぷり広告費をかけて宣伝しまくってくれる。

 

だが、(ここからが本題なのだが)日本ではまっっったく、話題になっていない。

せっかく頑張ってTrilogyの日本語字幕が作られたのに、まーーーーーいない。

トーリーが伝わらないと、シングルプレイ+Waveクリア型の4人coopのマルチという形態がイマイチ刺さらないというのはあるかもしれない。それにしても、である。

DA三部作の一番目であるDragonAge: Originsですら74万ワードである。ざっくり一人の翻訳者が寝食惜しんで働き続けても一年半ぐらいかかるだろうボリュームで、もう120%赤字だろう。この点だけでEAめちゃくちゃ褒められるべきだと思うのだがどうか。

実をいうと、翻訳に関わる者としては悪名高い某社の商法の中でも『日本語DLC商法』に限って言えば「そらそうよ」以外の感想を持たない。Fallout界隈のように活発なコミュニティが誤訳をネタとして消化してくれるならまだしも、品質の条件に当たり前のように組み込まれては、そらプレイヤー母数からしてそろばんが合いまへん、そんなハードコアゲーマーでこのボリュームを開発に並行してやれる有能な翻訳者とチェッカーがどれだけいると思ってますのん、いくらでやってるか知ってまっか、というところ。

その上輸入モノは「吹き替え」と「字幕」でまずふるいがかかってしまうわけだし、届かないし届ける理由もないのがまあ、現実なのだ。

Biowareのゲームは、その特徴のためにこれからも日本国内ではマイナーなゲームであり続けるのかもしれない。

このメーカーのゲームをやるたびに、この「日本語」と「英語」の絶望的な隔絶に思いを馳せる。それこそ二つの銀河のように、言葉の世界だけでなくそれを構成する文化はあまりにも異なっていて、不幸なことに日本語圏の透過性はあまりにも低く、英語をフィルタすると完全に見えなくなってしまうものが多い。あらゆるコミュニティに外れものがいるように、日本国内にいることが正解である人間は必ずしも多くないはずなのに、国家の教育の差で選択肢が与えられないことは最悪だと思う。

 

Mass Effectの世界はAI翻訳/通訳の技術がとても発達しているという設定なので、異種族間でも細かい言い直しはしつつも基本的に問題なくコミュニケーションが取れるようになっている。多種族による銀河統合政府の運営には欠かせない要素だが、そうして作られた社会の中でも天の川にとどまる方が良いとする者と、600年コールドスリープしてでもアンドロメダに飛び込む方がマシだと考える者がいる。

始めから困難であることが分かっている以上、いざとなればショッパイ顔をするしかないことも多いが、未知なる可能性よ我らにあれ、と願わずにはいられない。

 

結局本題にもゲームそのものにも踏み込めない半端なエントリになってしまったが、続きはまたいずれ。

無生産性と呪いを完成させるもの CITY OF GODとか1984とか

他人の事情を理解できるほど賢くないわれわれに、納得して生きるための知性なんてない

恋ダンスブームのことを覚えている人がどれだけいるのかというぐらい、この国のポップ的何かの流行り廃りが早く、もはや一種の発作としか言いようがない。何しろ継続しない。議論がない。語らないので残らない。この国で批評はクールな文化ではないからだ。

そもそも『逃げるは恥だが役に立つ』を観ていないやつが言えることではないかもしれない。なんにしても、ジェンダーフリーの歌詞を採用した『恋』と、劇中の ”自分に呪いをかけないで。そんな恐ろしい呪いからはさっさと逃げてしまいなさい” という名台詞が『アナと雪の女王』公開の3年後の現象であることを考えると、なるほど、 ”アメリカで流行っていることが3年後に日本でも流行る” を地で行くようで、レイシズムが路上に溢れるのも時間の問題かもしれない。

 

 それにしても、”毒親” ”呪い” という言葉が流行り始めた。かくいう自分もこの二つの被害者だ。もっとも、もともとそれらが毒であり呪いであったかどうかは疑っている。とりあえず家族を作り、単位を統一して、生産性で測ることで社会を運営していくことが効率的だった時代があり、それが変化しようとしているだけだと思う。インフラが十分でない環境下で人が当てにするのはやはり家族であり絆だ。それはもう本能だろう。Walking Deadよろしく都市機能が何らかの要因で破壊されれば、人はまたそこに立ち戻るかもしれない。”トライブ”という哲学にだ。

 

CITY OF GODをHuluで観始めた。ブラジル・ファヴェーラ(スラム)”神の街”で、例によって子供も銃を持ち、クスリを捌くために殺しあう、そんな映画だが、意外と演出に凝っていてとても見やすく、コメディのような空気を感じる瞬間すらある。

サグ・ライフものを観ていると、悪の特徴というのは「特別でないこと」その一点につきるとわかる。正義、あるいは知性はそれ自体が人間を構成するその他のあまたの要素の中でのイレギュラーであり、根本的に、それを必要としない人間にとっては不要なものでしかない。

そして、知性の利用法も確立されていない。倫理というレギュレーションは不完全なうえに、体裁を保つだけで精いっぱいなのが現状だ。しかも今日日ヒロイズムに頼っている。

 

ジョージ・オーウェル1984年』がトランプのおかげで売れているらしいが、そんなこととは関係なくこの間積み本崩しの過程で消化した。序盤が死ぬほど退屈だが(退屈でないと後が活きないからだろう)中盤以降、病み切った大国による”停滞の政治哲学”の話になるとぐいぐいと読者を引っ張ってくれる。

完全に完成された監視国家を舞台に、いかにして知性を持つものから意思を剥ぎ取るかという洗脳のプロセスを詳らかにしたヤバイ本なのだが、継続的な拷問と”二重思考”の教育、つまり反体制的な思考に対して即座に自分の心の中で反証をぶつけて打ち消すことで思考のエネルギーを発散させ、自発的に知性を放棄させる条件付けを徹底的に行う過程が臨場感たっぷりに描かれる。そして洗脳の最終段階では、あらゆる監視と拘束から解放された「ふつうの一市民としての生活」を送らせることで偽りの解放感と優越感を与え、そのカタルシスを指導者への感謝の気持ちに還元させる。

言うまでもなく、自由とは「拘束されていないこと」「苦痛を与えられていないこと」ではない。自由とは、自らの決めた掟を死ぬまで貫く終わりのない闘争であって、自らの中の知性とそれ以外の間に生まれる苦悩との対峙である。しかし、物理的なダメージは簡単に人の判断を見誤らせる。肉体を越える精神などない。あるとしても、それは執着と妄信から来る一時的な高揚に過ぎない。そもそも鍛えていない人間にできることなど限られている。

 

古い生存戦略に囚われた人間と手を切ることは大切だし、自分のものではない思い込みが自分の人生の足かせになっていないか確認することもとても大事なことだが、最も大事なのは「拘束からの解放」と「自由」を見誤らないことだと思う。前者はコピーの完了、呪いの完成のトリガーにもなりうるのだ。手段が大切である。まっさらな休養を得た時に、やらずにはいられない夢中なものがあるのであれば幸い。しかしそうでなければ?

練り上げるしかない。いくらインターネット上のUIだのアーキテクチャだのが進化してコミュニケーションの手段が増えストレスフリーになったところで、肉体はただ一つであり、人は肉体を通してしか世界にアクセスできない。それは物理的に融合できない絶対的なものであることを忘れてはいけない。

新たな生産性を身に着けることが正解ではないかもしれない。それはまた別の呪いでしかないかもしれないからだ。あれは承認欲求でこれは、という切り分けも無駄だ。自分が大なり小なりコミットできるものでないと意味がないからだ。

 

闘争は手段ではなく目的でなければならない。少なくとも現状の人間のスペックからするとそうだろうなと思う日々である。