2014/11/16 調和させたいだけ
艦これ始めて1年以上経った。
艦これというゲームはソーシャル要素を外注するという形でソーシャルゲームとして成立している。
モンハンとパズドラに言いたいことを読んで。近年のゲームデザイン - ぐ~たらオタクの似非考察日記
ゲーム攻略といえばWikiの時代、艦これはゲームそのものよりも、Wikiの方にゲーム性を立脚した。情報を集め、研究し、検討し、議論するという集合知の醸成の過程をゲームプレイの核に置いた。
去年の夏コミあたりの時期から始めたけど、ストーリーがなければ戦略性もない、見た目もサイトバナーが殴り合ってるだけのゲームをなんだかんだやってられるのは、あらかじめプレイングが艦これ内部に限定されないように作られているためだろう。
第一、ここまで生活を邪魔しないゲームもない。やることは定時ごとに遠征を出し直して兵站を整え、特定のステージを回してレベルを上げるだけ。自分はイベントが始まっても情報が出揃ってから出撃するので、クリアに必要な艦種を揃えたら、あとはひたすら試行回数を重ねていくだけ。ぶっちゃけ画面見てなくてもいいのでほとんど見てない。
それでも続けるのは、基本的には艦娘がどのようなパーティを組んでどのような冒険をしたかという脳内であらかじめ組みあがったプロットへの「味付け」、例えば思わぬところで大破して撤退を余儀なくされたとか、普段目立たない艦娘が正念場で決めただとかいった事件性が欲しいからだ。最近はイベントで多数の艦娘の動員が必要になる連合艦隊の導入により、艦隊運営にある程度の方向性を持たせることが必要になってきたが、基本的には一回構築した(構築方法は一から十までWikiに書いてある)ルーチンを繰り返せばまずクリアできるので、個人のスキルが入り込む余地がない代わりに、詰みはほとんどない。
現在のようにWikiに情報やサンプルが完全に出揃うまでの去年夏あたりは、逆に必勝パターンが見えないので試行してサンプル採取に努めるしかなく、プレイ中は無事を祈り続け、プレイ外では有効な戦略を話し合うという経験の繰り返しが、艦娘への思い入れを深め、自然とプレイヤーの間で物語が組み上げられていった。
↓おすすめ
艦これ - 「艦娘歳を取らない説」/「ビリー」の漫画 [pixiv]
艦隊これくしょん - 「かんこれまとめ6」/「deco」の漫画 [pixiv]
だから、艦これを長くやっているプレイヤーのほとんどは、それぞれの艦隊の行く末が気になるからこそ、細々とプレイし続けているのだろう。
これは実際、フリーシナリオシステムを持つサガシリーズや、The Elder Scrollsシリーズのような箱庭型RPGのプレイ感とほとんど一緒だ。
艦これというゲーム自体は、TRPGのルールブックやTCGのスターターキットのように、世界観を匂わせるデザインを提示すると共に、最低限の取扱説明書を付けたツールボックスのようなもので、そこにどんな鎮守府を描けるかは各々にかかっている。
接待やパチンコのようなゲームが多数を占める中で、上手いこと脇腹を刺した今らしいゲームだなと思う。一方通行の社会の中で、縛られた社会性を開放し、倫理や法を構築する高度な知性を駆動させられる場所としてのゲームという仮想の新天地。
……しかし流石にシンプルすぎて存在感がなくなりそうなぐらい薄くなってる今日この頃。もうちょいテコ入れ欲しい。